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社説(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞)、大阪の百貨店各社 [ニュース]

4月9日(木)   7日に非常事態宣言が発令されました。8日の主な全国紙の社説を列挙します。

◎朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/DA3S14433685.html?iref=pc_rensai_long_16_article
首相が緊急事態宣言 危機乗り越える重責自覚を
住民に大きな負担と緊張を強いる1カ月となろう。安倍首相と各知事は、重い政治責任と説明責任を負った。国民の理解と協力を得て、この危機を乗り越えられるか、政治指導者の覚悟もまた問われることになる。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首相がきのう、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態を宣言した。大型連休が終わる5月6日までで、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象だ。
 ■私権を制限する重み
 新型コロナを対象に加える改正特措法の施行から3週間余り。なぜ今、宣言なのか。首相はきのうの記者会見などで、東京、大阪など都市部を中心に感染者が急増し、医療現場が危機的な状況になっていることを理由にあげた。1カ月という期間については、取り組みの効果を確認するために必要だとした。
 首相によるイベント自粛や全国一斉休校の要請は、専門家の判断を仰ぐことなく、唐突になされた。それに対し、今回の宣言の内容は特措法で定められた諮問委員会の意見を踏まえた。首相による国会への事前報告と質疑が行われたことと併せ、その手続きに一定の透明性は確保された。
 首相は海外で行われているような「都市封鎖」にはつながらず、「社会経済機能への影響は最小限にとどめる」と強調した。一方で、他人との接触を「できれば8割、最低でも7割」減らす努力も求めた。
 特措法に基づき、知事の権限で行う外出自粛の要請や商業・娯楽施設などへの休業の要請・指示に罰則を伴う強制力はないとはいえ、やはり法的根拠のある措置は重い。自治体が休止を求める施設はかなり幅広くなりそうで、日々の生活への影響は大きいと言わざるを得ない。
 臨時の病院開設のための土地の強制使用や、医薬品や医療機器の販売の要請・収用など、強制力のある命令もある。
 朝日新聞の社説は、市民の自由や権利を制限し、社会全体に閉塞(へいそく)感をもたらす緊急事態宣言には、慎重な判断が必要だと主張してきた。特措法にも「(自由と権利の)制限は必要最小限のものでなければならない」という「基本的人権の尊重」の項目がある。その重みを十分踏まえた対応を求める。

 ■「不安」拭う対策こそ
 政府は宣言と併せ、過去最大となる事業規模108兆円の緊急経済対策を決めた。コロナ禍の影響が深刻な世帯や中小企業・個人事業主に対する現金給付が目玉である。
 しかし、30万円を受け取れるのは、住民税が課されない所得まで収入が減少するなどした世帯に限られる。中間所得層以上の多くは失業しない限り対象とならない見通しだ。
 個人事業主には100万円、中小企業には200万円を上限に現金を給付するが、売り上げ半減という厳しい条件がつく。既に実施されている融資制度はあるが、借金は返済するのが前提であり、苦境に陥った事業者らが背負える金額には限界がある。不安の払拭(ふっしょく)に向けた一歩ではあるが、十分とは言い難い。
 自粛要請と補償は一体であるという野党などの主張に対し、政府は一貫して否定的だ。しかし、そこで働く人の雇用と生活を守ることを最優先に、できる限りの手当てをすることは、感染拡大の機会を確実に減らすことにもつながるはずだ。
 ■信頼の礎は情報開示
 宣言は1カ月で終わるのか。どんな状況になったら出口が見えるのか。その目安を示すのも政治の責任である。
 首相はきのう、1日あたりの新規感染者数をクラスター対策が可能なレベルまで低減できれば、感染者の爆発的増加の可能性は相当程度、低下するとの見方を示したが、その具体的なレベルには触れなかった。見えないウイルスへの対応だけに予測しにくい面はあろうが、専門家の意見を聞きながら出口戦略を探ってほしい。
 首相は行政だけでこの危機は乗り切れないと、国民の協力を強く呼びかけた。人と人とが支え合うこの社会を守り維持するうえで、その構成員である個人一人ひとりの責任は大きい。しかし、個人が誤りなき判断をするためには、政府や自治体が信頼され、正確で十分な情報が遅滞なく開示される必要がある。
 安倍政権下では都合の悪い情報が隠され、説明責任がないがしろにされる例が後を絶たない。厳しい見通しでも率直に国民に伝え、責任を引き受ける。首相の覚悟が試されている。
 政府は今回の感染拡大を「歴史的緊急事態」に指定し、議事録の作成や資料の保存を義務づけた。ただ、政府内には公文書とする範囲を絞ろうという動きもある。感染症の蔓延(まんえん)は今後も繰り返される可能性が高い。後の検証や教訓につなげるため、細大漏らさず記録を残すべきだ。この宣言の下で、政府がとる行動は適切か、行政監視機能を担う国会の責任もまた重い。

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◎読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200407-OYT1T50307/
緊急事態宣言 感染抑止に協力し医療守ろう
◆冷静な対応で社会の混乱を防げ◆
 安倍首相は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言を発令した。社会全体で協力して、医療体制を守らねばならない。
 宣言は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく。対象は東京、大阪など7都府県で、期間は5月6日までと定めた。
 これらの地域では、患者が急増しており、感染経路を特定できない症例も多い。この勢いが続けば、患者が医療機関に殺到し、重症者に適切な治療を行えなくなる恐れがある。緊急事態宣言に踏み切ったのは、危機感の表れだろう。
◆過剰な措置は戒めたい
 首相は、「国民の命と健康を守ることを第一に、感染拡大の防止に取り組む」と語った。
 宣言を出すにあたり、専門家で作る諮問委員会の意見を聞き、国会に事前に報告した。丁寧な手続きを踏んだと言えよう。
 対象地域の知事は、特措法に基づいて、感染防止のため様々な措置を取れるようになる。
 東京都をはじめ対象の自治体は、外出自粛の徹底などを求めている。
 都は、百貨店や居酒屋など幅広い業種に休業を要請する案を検討しているが、政府が難色を示したため、調整が続いているという。
 行き過ぎた措置にならないよう、政府と都は十分に意見をすり合わせるべきだ。
 留意したいのは、都市封鎖や外出禁止といった強制的な措置は想定されていないことだ。住民らの理解と協力により、感染拡大を抑止するのが本旨である。
 政府と自治体は、特措法を適正に運用して、過剰な対応は戒めなければならない。
 政府は、基本的対処方針を改定し、事業継続が求められる対象として、電力などの生活インフラや金融機関、鉄道をはじめとした交通機関を挙げた。新聞やテレビなどのメディアも明記した。
◆公共インフラの維持を
 公共交通など、社会、経済の機能を維持していくことが欠かせない。医療従事者や物流を担う業者、報道機関の活動などに支障を来さないようにすべきだ。
 緊急事態宣言の発令で、住民が不安にかられて、買いだめなどが起きる可能性がある。デマや誤解が広がり、社会が混乱する事態は避けねばなるまい。
 政府と自治体は、的確で迅速な情報発信に努めることが大切だ。関係業界と連携し、食料品などの安定供給にも万全を期したい。
 住民には冷静な対応が求められる。密閉、密集、密接の3条件が重なる機会を避ければ、食料品の買い物や日課の散歩などを行っても問題はない。
 ウイルス感染を防ぐことは、自分と周囲の人を守り、ひいては社会を守ることにつながる。一人ひとりがこれを自覚し、自制した行動を心がけたい。
 企業も、感染防止のための取り組みを強める必要がある。とりわけ、通勤時の感染リスクは高い。時差出勤やテレワークの拡大などが選択肢となるだろう。
 東京や大阪などから、多くの人が旅行や帰省をすれば、感染が地方に拡散する恐れがある。不要不急の広域の移動は、できるだけ避けることが望ましい。
 感染拡大のスピードを抑えながら、医療提供体制の整備を急がなければならない。
宣言を受け、知事は臨時の医療施設を設置しやすくなる。患者が急増すれば、一般の病院で受け入れるケースが増えよう。
 各自治体が、病院ごとの役割分担を定めて、地域医療を維持することが重要である。
 政府が打ち出した緊急経済対策は、事業規模108兆円と過去最大になった。危機に対応し、大胆な施策を講じるのは適切だ。
◆家計と企業支援万全に
 苦境に立つ世帯や中小企業に、スピード感を持って恩恵を行き渡らせることが大切となる。
 収入が減った低所得世帯などに30万円の現金を給付する。自治体の窓口には申請が殺到しよう。混乱を防ぐため、受け入れ態勢の強化が急務だ。手続きを簡素化し、円滑な支給を図ってほしい。
 中小企業や個人事業主向けには最大200万円の現金給付を実施する。従業員を解雇せず、休業にとどめた企業に支給する雇用調整助成金も拡充する。必要書類を思い切って減らすなど、使い勝手の改善が求められる。
 対策メニューは多岐にわたり、極めて複雑だ。どんな場合にどの制度が使えるのか、政府はわかりやすく国民に示し、有効活用されるよう努めるべきである。

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◎毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200408/ddm/005/070/078000c
緊急事態と経済対策 生活危機に応えていない
 新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、政府は緊急事態宣言を7都府県に発令した。事業規模108兆円に上る過去最大の経済対策も決めた。
 宣言は1カ月間、外出自粛などの徹底を促すもので、景気をさらに悪化させる恐れがある。大型対策とセットで国民の不安を和らげる狙いだろう。
 安倍晋三首相は記者会見で「日本経済はまさに戦後最大の危機に直面している」との認識を示した。そのうえで今回の対策の規模が日本の国内総生産(GDP)の約2割に当たり、各国の経済対策でも最大級であることを強調して、「強い危機感の下、雇用と生活を守り抜く」と述べた。
 といっても景気への影響が心配され始めたのは2カ月以上も前だ。日々のやりくりに窮し生活の危機に直面している人は多い。首相が深刻な事態と認識しているのなら、もっと早く支援に取り組む必要があった。いくら規模を誇示しても国民の不安は収まらない。
遅く不十分な現金給付
 問題が多いのは、家庭への現金給付だ。収入が減った低所得者などに1世帯30万円を配るという。給付自体は必要な措置だが、遅すぎると言わざるを得ない。
 対策を盛り込んだ今年度の補正予算案が成立するのは今月下旬の見通しだ。生活に困っている人たちの手元に届くのは来月以降になってしまう。これではセーフティーネットの役割を果たせない。
 感染対策が遅れた米国ですら現金給付を今月中に行う予定だ。本来は、先月成立した今年度の当初予算で対応すべきだった。予算の組み替えに応じない政府の硬直的な姿勢が遅れを招いた。
 給付を受け取るには、対象者が市区町村窓口に申告する仕組みにした。政府は給付の条件である収入を事前に確認する作業が不要になり手続きが迅速になると説明するが、想定されている対象は1300万世帯に上る。申告が集中すると手続きも混乱し、かえって時間がかかる懸念がある。
 支援対象がかなり限られていることも問題だ。政府が以前から財政支援の基準としてきた住民税非課税世帯の収入を今回も基本にしたため、年収700万円が一気に350万円に半減しても給付を受けられない場合がある。
 今回の景気悪化は、買い物や外食、レジャーといった「需要」が一気に消え、関係業界で働く人の給料が突然大幅に減ったことが特徴である。対策は生活へのダメージの大きさを踏まえていない。
 英国政府は休業した企業の従業員に給与の8割を3カ月間補償する。日本も給付の追加を積極的に検討すべきだ。対象世帯を見直し方法も簡素化する必要がある。
 体力の弱い中小企業の支援も優先課題だ。緊急事態宣言に伴い、飲食や小売り、レジャー施設などの休業がさらに増えると見込まれ、倒産や失業の増加が懸念されている。対策は最大200万円の中小企業向け給付金創設などを盛り込んだ。
長期戦の備えを万全に
 だが今回の給付金だけでは経営が維持できない場合があるだろう。状況に応じて追加すべきだ。
 緊急事態宣言が1カ月で解除できる保証はない。発令した欧米では期間が長引いている。ドイツは零細企業への助成は3カ月分行う。日本も長期戦に備え補償に万全を期さなければならない。
 東京都は、休業に協力した中小零細企業を支援する協力金の創設を検討している。ほかの自治体も積極的に取り組んでほしい。
 十分な生活支援を行うには財源確保が欠かせない。政府は今回、財源として新たに16兆円の国債を発行し、1000兆円超の借金はさらに増える。
 非常事態とはいえ、将来世代へのつけ回しはできるだけ膨らまないようにすべきだ。不要不急の事業の見直しが急務だ。
 生活支援で多くの問題を抱えているのに、対策は景気刺激に前のめりな姿勢が目立つ。アベノミクスへの打撃を極力抑えたいとの思惑が働いているのだろう。
 首相は「経済をV字回復させる」と繰り返し、対策には観光や飲食向けのクーポン券など2兆円近くが盛り込まれた。だが感染収束のめどが立った段階で具体的に示した方が効果的なはずだ。
 経済の基盤である国民生活と雇用をしっかり守ることが景気回復の大前提だ。政府はきめ細かな生活支援に全力を注ぐべきだ。

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◎日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57786810X00C20A4SHF000/
家計と企業の支援策を滞りなく迅速に
政府が過去最大の経済対策を閣議決定した。国内総生産(GDP)の2割程度に相当する約108兆円の事業規模を確保し、新型コロナウイルスの封じ込めと家計・企業の支援に取り組む。
安倍晋三首相が7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した。日本経済の一層の悪化を覚悟せざるを得ない。関連法案の成立を急ぎ、困窮する家計や企業の支援策を滞りなく迅速に実行すべきだ。
急速な感染拡大や医療の崩壊を防ぐには、外出の自粛や商業施設の休業などが避けられない。その結果、空前の不況に見舞われており、2008年のリーマン・ショック後を上回る経済対策を講じるのは妥当である。
 治療薬やワクチンの開発、検査・医療体制の強化が重要なのはもちろんだが、日々の生活に困る家計や経営状態が悪化する企業の救済も緊急の課題である。今回の対策はおおむねバランスのとれた内容になったのではないか。
問題は、これらの施策を素早く実行できるかどうかだ。政府は収入が減った低所得者層などを対象に、1世帯当たり30万円の現金を支給する。売り上げが大幅に落ち込んだ中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円を給付するという。
必要な財源を盛り込んだ20年度補正予算案を4月中に成立させ、5月にも実施したい考えだが、家計や企業の申請を受け付ける地方自治体の体制に不安が残る。収入や売上高の条件などを確認するのに手間取り、急を要するお金をすぐに渡せないおそれがある。
児童手当や雇用調整助成金の拡充にも同じことがいえる。政府と自治体は申請や審査の手続きをできるだけ効率化すべきだ。
新型コロナの治療効果が期待される抗インフルエンザ薬「アビガン」の増産を支援し、備蓄を現在の3倍に増やすのは理解できる。安全性の確保には細心の注意を払いつつ、臨床試験を迅速に進めてほしい。
受診歴のない初診患者にもオンライン診療を認めるのは歓迎だ。新型コロナが収束するまでの特例措置という位置づけだが、この機会に恒久化すればよい。
 新型コロナとの戦いは長期戦が予想される。家計や企業の困窮が続く場合、追加支援もためらうべきではない。一般的な景気刺激策もいずれ必要になろう。政府の機動的な対応を求めたい。

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◎緊急事態宣言で関西の百貨店、食品のみ営業や休業へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57794790X00C20A4000000/
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて、関西の百貨店各社は7日、全館休業や食料品フロアに限った営業を決めた。8日から対応する。

百貨店.jpg

※私が趣味にしている百貨店の美術画廊めぐりが出来ないのが寂しいですが、辛抱ですね。

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