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美術の世界シリーズ第1集、大阪の開花予想 [特殊切手]

3月19日(木)   日本郵便㈱は、魅力ある名作絵画などの美術品を題材として特殊切手「美術の世界シリーズ」を本日発行します。
 第1集は「青の世界」がテーマです。

【切手のデザインについて】
美術の世界シリーズの第一弾は、 「青の世界」です。洋の東西を問わず、美術のなかで青は高貴な
色とされ、青色の顔料として用いられたラピスラズリは、高価な素材でした。近代のヨーロッパで
青色の絵の具が化学的に調合できるようになると、世界中に広がりをみせ、葛飾北斎の浮世絵など
庶民向けの絵画にも用いられるようになりました。空や水景だけでなく、遠望した山岳など青のイ
メージは風景の中に欠かせないものといえます。
今回は 19~20 世紀の、日本絵画と工芸、ヨーロッパ絵画の中から、青が特徴的な作例を選びまし
た。同じ青でも、濃淡の変化や他の色彩との対比によって、まったく異なる表情を漂わせます。季
節や時間によって変化する水面や空気の表情を、東西の芸術家たちはそれぞれの感覚でとらえ、表
現しています。

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◎美術の世界シリーズ 第1集青の世界
発行日:令和2年(2020)3月19日(木)
料額・種類:(A)63円×10種類(シール式)、(B)84円×10種類(シール式)
シート構成:(A)10枚(縦2×横5)、(B)10枚(縦2~3×横4)
切手デザイン:楠田 祐士
版式刷色:オフセット6色
発行枚数:(A)1,000万枚(100万シート)、(B)2,500万枚(250万シート)
銘版:凸版印刷

(A)63円切手(シール式)
↓(1)「染付兎水葵図大皿」 (伊万里焼)東京国立博物館蔵(Image: TNM Image Archives)
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↑伊万里焼 は、現在の佐賀県で江戸時代の初めから生産された磁器 です。酸化コバルトの絵の具で
白地の磁器に絵を描き焼成する技法は、染付と呼ばれます。本作は江戸時代後期のもので、やや
淡い青色を地とし、ここに白色で流水と水葵、二羽のウサギを配しています。渦を巻くように
デザインされた流水、可憐な水葵、擬人化されたようなウサギの表情が見どころです。

↓(2)「四季花鳥図巻」酒井抱一 東京国立博物館蔵(Image: TNM Image Archives)
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↑酒井抱一(1761~1829)は姫路藩主の子として江戸に生まれ、各種の絵を学んだ後、尾形 光琳の
作風に傾倒しました。光琳風のデザイン性あふれる構図、明快な彩色に特徴があり、彼とその後 継者を江戸琳派と呼びます。本図に描かれた燕子花の花の形や鮮やかな青色は、光琳の代表作「燕子花図 屏風」(根津美術館蔵)の描写を下敷きとしています。

↓(3)「冨嶽三十六景 甲州石班沢」葛飾北斎 すみだ北斎美術館蔵
 (画像提供:すみだ北斎美術館/DNPartcom)
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↑葛飾北斎(1760~1849)は、約 70 年の画業の中で、日本絵画のさまざまな流派や西洋画法を取り
入れ、多彩な画風を生み出しました。作品では『北斎漫画』と呼ばれる絵手本など、多くの画業を
展開しました。 「冨嶽三十六景」は、1831(天保 2)年頃に出版された代表作で、全 46 図からなります。
「甲州石班沢」は漁の様子を描いたものとされます。青色の濃淡によって川岸の奇岩と複雑な波
頭、平行に描かれた遠景の水流、霞んだ富士山の稜線を表現し、張り詰めた空気をとらえています。

↓(4)「待月」上村松園 足立美術館蔵
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↑上村松 園(1875~1949)は近代を代表する女性日本画家です。凛とした優美な女性を多く描き
ました。本作は、晩年の 1944(昭和 19)年に描かれたもので、紗の青い着物と、絞りの帯が美しく
調和しています。シンプルな構図で、空を見上げる女性の視線や広々とした空間が豊かな情趣を
漂わせています。

↓(5)「紫陽花図花瓶」(七宝)並河靖之 清水三年坂美術館蔵
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↑並河靖之(1845~1927)は近代に活躍した七宝の大家です。存命中は、帝室技芸員に任命され、
皇室関係の制作も行いました。並外れた精密なテクニックによって、近年、再評価されています。
透明感のある黒を背景に、ごく淡い青の紫陽花を浮かび上がらせることで、遠近感と立体感を見事
に表現しています。

↓(6)「湖畔」黒田清輝 東京国立博物館蔵(画像提供:東京文化財研究所)
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↑黒田清輝(1866~1924)は 1884(明治 17)年に渡仏、現地の画家ラファエル・コランに師事し、
外光をとりこんだ清爽な画風を身に着けて帰国しました。東京美術学校の西洋画科教授として後進
の指導にもあたり、文化財行政にも携わりました。 「湖畔」は 1897(明治 30)年、箱根の芦ノ湖に避暑に訪れた黒田が、照子夫人をモデルに描いたものです。着物、湖水、遠山はいずれも淡い青で描かれ、夏の涼やかな風が伝わってくるようです。

↓(7)「雲中富士」横山大観 東京国立博物館蔵(Image: TNM Image Archives)
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↑横山大観(1868~1958)は、東京美術学校(現在の東京芸術大学)の一期生として岡倉天心や橋本雅邦の指導を受け、近代日本画の第一線で多様な画風を展開しました。1913(大正 2)年頃に描かれた本図は、金地に白雲と濃い青の富士山のみを単純化して描いており、琳派のデザイン性を強く意識 した作例です。頂部の残雪が、青い稜線を際立たせています。

↓(8)「ペガサス、岩上の馬」オディロン・ルドン ひろしま美術館蔵
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↑オディロン・ルドン(1840~1916)は、フランスで活躍した画家です。同時代に流行した印象派
の鮮明な色彩には批判的で、はじめはモノクロームや重い彩色を試みましたが、晩年には幻想的な彩色へと変化しました。「ペガサス、岩上の馬」は、1907~10 年頃に描かれたパステル画で、エメ
ラルドグリーンと青色の空を背景に、白色のペガサスが輝くようにたたずんでおり、神話的な美し
さにあふれています。

↓(9)「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」マリー・ローランサン ポーラ美術館蔵
 (画像提供:ポーラ美術館 / DNPartcom)
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↑マリー・ローランサン(1883(1885 年の説もあり)~1956)は、フランス・パリで活躍した女性
画家です。甘美な人物描写、パステルカラーの幻想的な彩色に特徴があります。本作は 1933 年、
女優ヴァランティーヌ・テシエをモデルに描いたもので、紫に近い青色の衣を身にまとい、舞台で
演技するかのようなポーズをとっています。透けた衣から見える白い肌が、画面全体に軽快な印象
を与えています。

↓(10) 「睡蓮」クロード・モネ アサヒビール大山崎山荘美術館蔵
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↑クロード・モネ(1840~1926)はフランスの印象派を代表する画家です。晩年、パリ郊外の
ジヴェルニーのアトリエ兼自宅に日本風の庭園を設け、池に浮かべた睡蓮を観察して連作を描きま
した。本作は、日本国内にある「睡蓮」としては屈指の大作で、緑がかった池に、青紫色の睡蓮の
葉が溶け込むように描かれ、赤やピンクの花がアクセントとなっています。


(B)84円切手(シール式)
↓(1)「染付兎水葵図大皿」 (伊万里焼)東京国立博物館蔵(Image: TNM Image Archives)
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↑63円切手と同じ。

↓(2)「四季花鳥図巻」酒井抱一 東京国立博物館蔵(Image: TNM Image Archives)
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↑63円切手と同じ。

↓(3)「冨嶽三十六景 甲州石班沢」葛飾北斎 すみだ北斎美術館蔵
  (画像提供:すみだ北斎美術館/DNPartcom)
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↑63円切手と同じ。

↓(4)「アレ夕立に」竹内栖鳳 髙島屋史料館蔵
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↑竹内栖鳳(1864~1942)は京都で生まれ、江戸中期からこの地で流行した円山四条派の流れを
くんでいます。綿密な写生をベースに、西洋画の空気感を取り入れた画風で日本画に新風を吹き
込みました。 1909(明治 42)年に制作された本作は、青い着物と扇面の赤・金の対比が効果的です。

↓(5)「紫陽花図花瓶」(七宝)並河靖之 清水三年坂美術館蔵
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↑63円切手と同じ。

↓(6)「湖畔」黒田清輝 東京国立博物館蔵(画像提供:東京文化財研究所)
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↑63円切手と同じ。

↓(7)「雲中富士」横山大観 東京国立博物館蔵(Image: TNM Image Archives)
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↑63円切手と同じ。

↓(8)「グラン・ブーケ(大きな花束)」オディロン・ルドン 三菱一号館美術館蔵
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↑オディロン・ルドン(1840~1916)が 1901 年に描いた本作は、フランスの貴族が城館の食堂の
装飾として注文した連作のうちの一点です。パステルによって描かれた柔らかな色彩の花々が、
深い青色の花瓶からあふれ出るように描かれています。青の花瓶は画面の中央にあって安定感を
与えるとともに、暖色の花々を引き立てる役割を果たしています。

↓(9)「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」マリー・ローランサン ポーラ美術館蔵
  (画像提供:ポーラ美術館 / DNPartcom)
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↑63円切手と同じ。

↓(10) 「睡蓮」クロード・モネ 国立西洋美術館蔵 松方コレクション
   (Photo: NMWA/ DNPartcom)
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↑クロード・モネ(1840~1926)による「睡蓮」の連作のひとつで、国立西洋美術館にある松方
コレクションの代表作です。本作は 1916 年に描かれたもので、池の水面が空の青色を映し出し、
ここに豊かな色彩で表現された睡蓮の葉と花が浮かんでいます。季節や時間の移ろいの中で表情を
変えていく、水と空気の微妙な色合いを、モネはキャンバスに描き留めようとしました。

★参考(同じデザインの切手)
「湖畔」黒田清輝:1967年4月20日発行、切手趣味週間
   美術2・黒田.jpg

「アレ夕立に」竹内栖鳳:1980年7月7日発行、近代美術シリーズ
   美術1・竹内.jpg

「冨嶽三十六景 甲州石班沢」葛飾北斎:1967年10月6日発行、国際文通週間
   美術1・北斎.jpg

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◎大阪の桜開花予想(ウェザーマップより)
https://sakura.weathermap.jp/sp/

3月20日(金)開花     3月28日(土)満開
(平年の開花は3月28日)   (平年の満開は4月5日)

↓昨日の朝、散歩していたら、近所の公園の「ユキヤナギ」が満開でした。桜の開花が近いことを匂わせていますね。
はな1・ユキヤナギ.jpg

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たいちさん

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ぼんぼちぼちぼち

大観の富士山、切手そのものの形も富士山型なのが面白いでやすね。
すごく外人さんウケしそうでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-03-19 19:20) 

たいちさん

ぼんぼちぼちぼちさん、niceとコメント有難うございます。
日本でも特にシール式切手に、変形がよくみられますね。
日本の美術宣伝の為にも嬉しい切手シリーズ発行ですね。
by たいちさん (2020-03-19 23:43) 

たいちさん

★いっぷくさん、nice有難うございます。

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by たいちさん (2020-03-19 23:45) 

たいちさん

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by たいちさん (2020-03-20 23:09) 

たいちさん

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by たいちさん (2020-03-22 22:35) 

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