現代美術の森Ⅰ(万博記念公園)、豊中彫刻(106・107)、選抜高校野球 [屋外彫刻・造形物]
3月23日(水) 万博記念公園の自然文化園の中には、野外彫刻が沢山設置されています。「現代美術の森」の彫刻について2回に分けて紹介します。(2月28日撮影)
◎現代美術の森Ⅰ
住所:大阪府吹田市千里万博公園10 万博記念公園の自然文化園内
https://www.expo70-park.jp/facility/nature/nature-04/
日本万国博覧会開催35周年を記念して2005年に自然文化園内に「現代美術の森」としてオープンしました。清楚な森の中にある池や樹林と調和した美術作品13点を展示しています。 自然の中で文化の香りを感じ取ってください。
↓配置図
↓①「阿」 小田信夫
↑「阿」というのは仏教用語では物事や物質の始まりをさす。概念や考え方の中心となるコンセプチュアル・アートなども彫刻とみなされる現在、もう一度、具象彫刻について考え直すきっかけになればという意味で作家はこの作品を制作したという。馬のような動物の頭部の形の本質を造形化した作品といえよう。また作者は、空手の名手から、前へ強く押し出す「つき」の動作に負けないほどの手前へと引く動作が、その技の「切れ、冴え」になるという話しを聞き、作品に向かう時にも、前へ前へと自分の気持ちを向けがちのところ、手前へと気持ちを向けるように心がけたという。それによって、見る人に対して自分の気持ちがよく伝わるのでは、と願いながら制作したとのことである。
【小田信夫】
1948年大阪市生まれ。大阪芸術大学教授。1980年、光太郎大賞展(彫刻の森美術館)においてエミリオ・グレコ特別優秀賞。1982年、美ヶ原高原美術館賞、1984年、優秀賞を受賞。2004年、二科展(東京都立美術館)においてローマ賞。2008年、文部科学大臣賞受賞等。大阪を中心に、数多くのパブリックアートが設置されている。
↓②「畫90-2」 白徹洙
↑題名の「畫」は、日本語で画や書の漢字に相当し、書く、画す、描くといった意味である。この題名と作品の形との関連については必ずしも明らかではないが、古くから人体や動物の像を形作る彫刻素材として使われてきたブロンズという素材が、簡潔でシャープな抽象的な形に結実している様子が興味深い作品である。
【白徹洙】
1950年生まれ。1979年、第2回中央美術大展(国立近代美術館、ソウル)彫刻部大賞受賞。1980年、第3回中央美術大展(国立近代美術館、ソウル)特選受賞。1997年、第2回光州ビエンナーレ特別展(中外公園、光州)や2005年、第2回北京国際ビエンナーレ(北京)等、多数の展覧会に出展している。
↓③「暗い雲」 森口宏一
↑本作品は1993年、作者が63歳の時に制作された作品である。作者自身がそのように説明していたわけではないが、「タイトル」から想像するならば、バブル経済が崩壊した時代状況を、ウレタン樹脂を使ったこうした構成によって、はからずも表現しているのかもしれない。あるいは雨粒をはらんだ気体としての雲の物質性を、金属という素材とシンプルな形状で構成・表現したものとも捉えられる。
【森口宏一】
1930年大阪に生まれる。関西大学で統計学を学び、行動展に出品、60年代はじめ、抽象作家集団「テムポ」を結成、アルミニウム板、ポリエステル、クロームメッキ、ステンレス、蛍光灯といった工業素材を使ったレリーフやオブジェを制作する。70年代の「表面の構造」シリーズを経て、80年代以後は、鉄を主要素材とした構造的な彫刻、あるいはインスタレーションへと展開する。1995年、国立国際美術館(大阪)において回顧展が開催され、2011年に没した。
↓④「煙のように」 デイヴィッド・ウィルソン
↑英国で絵画を学んだ経験から、彼が手掛ける彫刻にはその影響が色濃く出ており、この作品も、まるで筆で描いたような自由自在な形状が特徴的である。90年代以降、アルミとブロンズを使ったカラフルな色彩の作品を多く手掛けるようになり、そのインスピレーションの源泉は、風景や空を観察することだと作家自身が語っている。メルボルン在住アーティストとして、オーストラリアの彫刻界に重要な歴史を刻んでいる作家である。
【デイヴィッド・ウィルソン】
1947年生まれ。1965年、英国からオーストラリアに移住。1973、76年、シドニー・ビエンナーレ、1981・84・90年、オーストラリア彫刻トリエンナーレに出品等。オーストラリア・ナショナル・ギャラリーやヴィクトリア・ナショナル・ギャラリー、クイーンズランド・アート・ギャラリー、タスマニア美術博物館等に作品収蔵。
↓⑤「ケツァルコアトル」 セバスチャン
↑鉄やコンクリートを用いたモニュメンタルな作品で知られ、メキシコやその他の国々に200を超える作品が設置されている。日本にも10を超える作品があり、東京・千鳥ヶ淵公園内の日本人メキシコ移民百周年記念のモニュメントや堺市庁舎前の巨大なモニュメント等が設置されている。本作品のタイトル「ケツァルコアトル」とは羽毛のある蛇という意味で、アステカ神話の文化神、農耕の神を指す。
【セバスチャン】
1947年生まれ。1979~85年、メキシコ造形作家協会会長。1983年にはオランダ王妃によって芸術アカデミー名誉会員に任命された。メキシコ国立自治大学教授を25年以上も務めている。1984、1992年にノルウェー国際グラフィック・ビエンナーレで審査員賞受賞、1987年「第5回ヘンリー・ムーア大賞展」で優秀賞など。大阪府が主催する「大阪トリエンナーレ・彫刻」では1995、1998年に受賞。
↓⑥「韻律と理由」 ダニエル・バレット
↑本作品について、審査員の一人は「鉄の板や棒を複雑に組み合わせて、主題のごとくリズミカルな詩的運動を表している」と評している。中心からその外縁に向かって鉄の複雑な面や線が軽やかに拡散しており、鉄という素材の重い硬質性と、リズミカルな動きという相反する2つの要素が同居する様は、見ていて目に楽しい効果をもたらしてくれる。
【ダニエル・バレット】
1927年、アイルランドに生まれる、2003年没。1949年、東アフリカを訪れて民族芸術を学び、ケニアやウガンダ等で彫刻家として活動。その後イスラエルに移り、1961年までに複数のパブリック・アートを制作している。1966年にはニューヨークにスタジオを構え、ニューヨーク近代美術館やグッゲンハイム美術館のグループ展に出品。生涯を通じて、英国、アイルランド、ドイツのオランダの主要美術館やギャラリーで個展を開催した。
※明日に続きます。
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◎豊中彫刻(106・107)
↓「翼に乗って」(106)新宮 晋 平成1年7月設置
設置場所:豊中市野田町4-1 庄内体育館前
↑現在破損して、修理中。
↓以前の画像(借用)
↑ステンレスの輝きを生かし、微風にも動きが得られるよう制作されている。 動きもリズミカルで、「大空に向かって未来へはばたく」という願いをもって制作。
【略歴】
1937年(昭和12年) - 大阪府豊中市に生まれる。
1960年(昭和35年) -東京美術学校 (現東京芸術大学)を卒業後、イタリア政府奨学生としてイタリアに移り住む。ローマ国立美術学校で絵画を学ぶ。
1966年(昭和41年) - ミラノのブルー画廊で立体作品を発表。同年帰国。
以来、自然エネルギーで動く作品を世界各地に発信
↓「鎮守林」(107)會田雄亮 平成1年7月設置
設置場所:豊中市野田町4-1 庄内体育館壁面
↑文化スポーツを通し、人々が集まる殿堂として鎮守林をイメージして制作。陶土を平板に焼き、屋外レリーフとしての展示はこれまでにあまり制作されていない。
【略歴】
1931年東京に生まれ - 2015年10月28日死去。日本の陶芸家。造園系彫刻家・環境デザイン造形作家。東北芸術工科大学名誉教授。環境造形や、練り込み(練り上げ)の工芸作品で知られる。
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◎昨日の選抜高校野球の結果
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202203180000192.html
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◎現代美術の森Ⅰ
住所:大阪府吹田市千里万博公園10 万博記念公園の自然文化園内
https://www.expo70-park.jp/facility/nature/nature-04/
日本万国博覧会開催35周年を記念して2005年に自然文化園内に「現代美術の森」としてオープンしました。清楚な森の中にある池や樹林と調和した美術作品13点を展示しています。 自然の中で文化の香りを感じ取ってください。
↓配置図
↓①「阿」 小田信夫
↑「阿」というのは仏教用語では物事や物質の始まりをさす。概念や考え方の中心となるコンセプチュアル・アートなども彫刻とみなされる現在、もう一度、具象彫刻について考え直すきっかけになればという意味で作家はこの作品を制作したという。馬のような動物の頭部の形の本質を造形化した作品といえよう。また作者は、空手の名手から、前へ強く押し出す「つき」の動作に負けないほどの手前へと引く動作が、その技の「切れ、冴え」になるという話しを聞き、作品に向かう時にも、前へ前へと自分の気持ちを向けがちのところ、手前へと気持ちを向けるように心がけたという。それによって、見る人に対して自分の気持ちがよく伝わるのでは、と願いながら制作したとのことである。
【小田信夫】
1948年大阪市生まれ。大阪芸術大学教授。1980年、光太郎大賞展(彫刻の森美術館)においてエミリオ・グレコ特別優秀賞。1982年、美ヶ原高原美術館賞、1984年、優秀賞を受賞。2004年、二科展(東京都立美術館)においてローマ賞。2008年、文部科学大臣賞受賞等。大阪を中心に、数多くのパブリックアートが設置されている。
↓②「畫90-2」 白徹洙
↑題名の「畫」は、日本語で画や書の漢字に相当し、書く、画す、描くといった意味である。この題名と作品の形との関連については必ずしも明らかではないが、古くから人体や動物の像を形作る彫刻素材として使われてきたブロンズという素材が、簡潔でシャープな抽象的な形に結実している様子が興味深い作品である。
【白徹洙】
1950年生まれ。1979年、第2回中央美術大展(国立近代美術館、ソウル)彫刻部大賞受賞。1980年、第3回中央美術大展(国立近代美術館、ソウル)特選受賞。1997年、第2回光州ビエンナーレ特別展(中外公園、光州)や2005年、第2回北京国際ビエンナーレ(北京)等、多数の展覧会に出展している。
↓③「暗い雲」 森口宏一
↑本作品は1993年、作者が63歳の時に制作された作品である。作者自身がそのように説明していたわけではないが、「タイトル」から想像するならば、バブル経済が崩壊した時代状況を、ウレタン樹脂を使ったこうした構成によって、はからずも表現しているのかもしれない。あるいは雨粒をはらんだ気体としての雲の物質性を、金属という素材とシンプルな形状で構成・表現したものとも捉えられる。
【森口宏一】
1930年大阪に生まれる。関西大学で統計学を学び、行動展に出品、60年代はじめ、抽象作家集団「テムポ」を結成、アルミニウム板、ポリエステル、クロームメッキ、ステンレス、蛍光灯といった工業素材を使ったレリーフやオブジェを制作する。70年代の「表面の構造」シリーズを経て、80年代以後は、鉄を主要素材とした構造的な彫刻、あるいはインスタレーションへと展開する。1995年、国立国際美術館(大阪)において回顧展が開催され、2011年に没した。
↓④「煙のように」 デイヴィッド・ウィルソン
↑英国で絵画を学んだ経験から、彼が手掛ける彫刻にはその影響が色濃く出ており、この作品も、まるで筆で描いたような自由自在な形状が特徴的である。90年代以降、アルミとブロンズを使ったカラフルな色彩の作品を多く手掛けるようになり、そのインスピレーションの源泉は、風景や空を観察することだと作家自身が語っている。メルボルン在住アーティストとして、オーストラリアの彫刻界に重要な歴史を刻んでいる作家である。
【デイヴィッド・ウィルソン】
1947年生まれ。1965年、英国からオーストラリアに移住。1973、76年、シドニー・ビエンナーレ、1981・84・90年、オーストラリア彫刻トリエンナーレに出品等。オーストラリア・ナショナル・ギャラリーやヴィクトリア・ナショナル・ギャラリー、クイーンズランド・アート・ギャラリー、タスマニア美術博物館等に作品収蔵。
↓⑤「ケツァルコアトル」 セバスチャン
↑鉄やコンクリートを用いたモニュメンタルな作品で知られ、メキシコやその他の国々に200を超える作品が設置されている。日本にも10を超える作品があり、東京・千鳥ヶ淵公園内の日本人メキシコ移民百周年記念のモニュメントや堺市庁舎前の巨大なモニュメント等が設置されている。本作品のタイトル「ケツァルコアトル」とは羽毛のある蛇という意味で、アステカ神話の文化神、農耕の神を指す。
【セバスチャン】
1947年生まれ。1979~85年、メキシコ造形作家協会会長。1983年にはオランダ王妃によって芸術アカデミー名誉会員に任命された。メキシコ国立自治大学教授を25年以上も務めている。1984、1992年にノルウェー国際グラフィック・ビエンナーレで審査員賞受賞、1987年「第5回ヘンリー・ムーア大賞展」で優秀賞など。大阪府が主催する「大阪トリエンナーレ・彫刻」では1995、1998年に受賞。
↓⑥「韻律と理由」 ダニエル・バレット
↑本作品について、審査員の一人は「鉄の板や棒を複雑に組み合わせて、主題のごとくリズミカルな詩的運動を表している」と評している。中心からその外縁に向かって鉄の複雑な面や線が軽やかに拡散しており、鉄という素材の重い硬質性と、リズミカルな動きという相反する2つの要素が同居する様は、見ていて目に楽しい効果をもたらしてくれる。
【ダニエル・バレット】
1927年、アイルランドに生まれる、2003年没。1949年、東アフリカを訪れて民族芸術を学び、ケニアやウガンダ等で彫刻家として活動。その後イスラエルに移り、1961年までに複数のパブリック・アートを制作している。1966年にはニューヨークにスタジオを構え、ニューヨーク近代美術館やグッゲンハイム美術館のグループ展に出品。生涯を通じて、英国、アイルランド、ドイツのオランダの主要美術館やギャラリーで個展を開催した。
※明日に続きます。
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◎豊中彫刻(106・107)
↓「翼に乗って」(106)新宮 晋 平成1年7月設置
設置場所:豊中市野田町4-1 庄内体育館前
↑現在破損して、修理中。
↓以前の画像(借用)
↑ステンレスの輝きを生かし、微風にも動きが得られるよう制作されている。 動きもリズミカルで、「大空に向かって未来へはばたく」という願いをもって制作。
【略歴】
1937年(昭和12年) - 大阪府豊中市に生まれる。
1960年(昭和35年) -東京美術学校 (現東京芸術大学)を卒業後、イタリア政府奨学生としてイタリアに移り住む。ローマ国立美術学校で絵画を学ぶ。
1966年(昭和41年) - ミラノのブルー画廊で立体作品を発表。同年帰国。
以来、自然エネルギーで動く作品を世界各地に発信
↓「鎮守林」(107)會田雄亮 平成1年7月設置
設置場所:豊中市野田町4-1 庄内体育館壁面
↑文化スポーツを通し、人々が集まる殿堂として鎮守林をイメージして制作。陶土を平板に焼き、屋外レリーフとしての展示はこれまでにあまり制作されていない。
【略歴】
1931年東京に生まれ - 2015年10月28日死去。日本の陶芸家。造園系彫刻家・環境デザイン造形作家。東北芸術工科大学名誉教授。環境造形や、練り込み(練り上げ)の工芸作品で知られる。
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◎昨日の選抜高校野球の結果
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202203180000192.html
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万博記念公園って、このようになっているのでやすね。
とても解りやすい図解、ありがとうございやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2022-03-23 08:18)
ぼんぼちぼちぼちさん、niceとコメント有難うございます。
万博公園は、この地図は一部で、もっと広大ですね。
by たいちさん (2022-03-23 16:09)
★鉄腕原子さん、nice有難うございます。
★@ミックさん、nice有難うございます。
★kameさん、nice有難うございます。
★ryo1216さん、nice有難うございます。
★tochiさん、nice有難うございます。
★xml_xslさん、nice有難うございます。
★じーバトさん、nice有難うございます。
★tarouさん、nice有難うございます。
★タンタンさん、nice有難うございます。
★響さん、nice有難うございます。
★ritton2さん、nice有難うございます。
★naonaoさん、nice有難うございます。
★ふるたによしひささん、nice有難うございます。
by たいちさん (2022-03-23 16:14)
★arcさん、nice有難うございます。
★めぎさん、nice有難うございます。
★kousakuさん、nice有難うございます。
★ずん♪さん、nice有難うございます。
by たいちさん (2022-03-23 23:18)
ライスさん、nice有難うございます。
by たいちさん (2022-03-24 15:59)